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家賃収入で自宅のローンを賄う!今注目の賃貸併用住宅とは?

2020年08月07日

賃貸併用住宅で、住宅ローンの負担を家賃収入で賄いながら生活するという土地活用方法についてご紹介します。賃貸併用住宅ならば、住宅ローンを利用して建築コストをおさえつつ、賃貸のほか二世帯住宅や民泊などにも活用できる、柔軟で将来性の高い家を作ることができます。失敗しない賃貸併用住宅の作り方についてもまとめました。

 

■賃貸併用住宅とは

賃貸併用住宅とは、住宅を建てる際、あらかじめ一部分を他人に貸し出す目的で設計・デザインされた住宅のことです。住宅の一部を貸すことで家賃収入が得られるので、これをローンの返済に充てられ、軽い負担でマイホームが建てられると、若い世代に注目されています。

賃貸併用住宅は、融資条件さえ満たせば、住宅ローンを利用できます。アパートローンに比べて金利が安く、有利な条件で建てられるため、アパート建築はコストが高すぎるとお悩みの方に向いています。

これに加え、最近では既存の住宅をリフォームして賃貸併用住宅として活用する中高年層も増えています。住宅建設時は子供と暮らしていたため必要だった部屋も、子供たちが独立・結婚して家を出れば、不要なスペースとなってしまいます。そこで、大幅リフォームによって間取りを変え、空きスペースを他人に貸し出せるようにすることで、資産を有効利用できるようになるのです。

賃貸併用住宅には、他人に賃貸する他にも、以下のような活用方法が見込めます。

 

1】二世帯住宅

将来、両親や子供と暮らす際、二世帯住宅にすることができます。賃貸併用住宅として設計された家であれば、住居部分を分けて互いのプライバシーや生活スタイルを尊重しつつ、同じ家に住むことができます。何かあればすぐに駆けつけることができ、異変を察知することもできるので、「高齢の両親は元気だが、離れて住んでいると心配」という不安も抱かなくて済みます。

 

2】民泊

東京オリンピックで注目された、旅行者や短期滞在者を一般の住宅に宿泊することができるサービスです。都心や観光地など、民泊としての需要が見込める土地であれば、賃貸併用住宅として作られた家を民泊として活用することも可能になります。

このように、数多くのメリットや可能性を秘めている賃貸併用住宅ですが、設計段階で、将来を見据えてよくプランを練っておかないと、収益が上がらず失敗することもありえます。賃貸併用住宅は住宅ローンを利用できるとはいえ、建築費は一般の住宅よりも高額となるため、長所・短所や注意点、デメリットの克服方法などをよく検討されてから建築されたほうがいいでしょう。失敗しない賃貸併用住宅建設のためには、土地活用の専門家にアドバイスを受けることをおすすめします。

 

■他の土地活用、マンションやアパート経営と賃貸併用住宅との違いと共通点

マンション・アパート経営と賃貸併用住宅との最大の違いは、資金確保の容易さ。将来的の収益を考えて家賃収入が得られるアパートを建てたいと考えても、融資の金利も高く、誰もが簡単に手を出せる土地活用ではありません。賃貸併用住宅は、マイホーム建築や既存の住宅のリフォームの際に比較的低コストで作ることができ、住宅ローンを利用できれば金利も低く抑えられるため、手軽に土地活用をしたいという方に向いています。

とはいえ、まとまった戸数を貸し出すことができるアパートやマンションと違い、賃貸併用住宅は住むことのできる賃借人が少ないため、その分家賃収入も少なくなります。住宅ローンを利用するためには、「オーナーの居住用部分を51%以上にする」といった条件が存在します。「低コストで作れるがリターンも控えめ」という点は頭にいれておきましよう。

他方で、マンション・アパート経営と賃貸併用住宅の共通点は「空室のままだと賃料収入が発生しない」ということです。そのため、空室にならないよう、設計の段階から、借り手がつきやすい魅力的な物件にするにはどうしたらよいか、考える必要があります。「自宅に併設するんだから、まずはオーナーが気にいるように建築したい。賃貸部分はおまけ」と考えると、借り手にとって魅力に乏しい賃貸スペースとなり、賃借人がつかずに失敗する可能性がありますので、借り手に気にいってもらえる設計やデザインを重要視しましょう。

 

■賃貸併用住宅の配置3パターンとターゲット設定

賃貸住宅のデザインには主に3種類があり、どんな賃借人をターゲットとするか、また、オーナーの家族構成や賃貸併用住宅の規模によっても最適なデザインは異なってきます。

・オーナーが1

一般的な賃貸併用住宅のパターンです。2階に賃貸スペースがある方が、日当たりや見晴らしがよく借り手に好まれるため、賃料を高くとることができます。他方、1階には階段を使わなくてもいい、庭を利用できるといったメリットもあり、多くのオーナーがこのデザインを採用しています。デメリットとしては、1階は防犯性がやや低い、上位階の入居者の騒音の心配がある、折角家を建てたのに見晴らしの良い部分が利用できない、という点があります。

・オーナーが最上階

オーナーが上位階に住むことで、見晴らしがいい、賃借人の騒音を気にしなくて済む、屋上を利用できるといったメリットがあります。デメリットとしては、一階は賃借人には人気がないので、賃料を下げざるを得なくなったり、なかなか借り手がつかないおそれがあります。アパートやマンションなど、比較的大きな建物の一角にオーナーが住む場合、最上階に住むパターンがよく見られます。

・縦割り

1階と最上階、どちらのメリットもいいとこどりしたい!という場合は、オーナーの住居部分を階をまたいで縦に設計します。上の階からの眺望も確保でき、また足音などの騒音の心配もありません。デメリットとしては、自宅部分と賃貸部分両方に階段を設けなければならず、スペースのロスが増えることです。

・ターゲットの設定【単身者向けかファミリー向けか】

間取りを考える際には、単身者向けか、ファミリー層向けかと言うことも考えなくてはなりません。単身者向けであれば1Rや1Kで済むので、大きな建物でなくても複数の部屋を貸し出すことができ、利回りを考えると大きなメリットがあります。特に、近隣に大学や企業など、単身者が住まいを求めるエリアに向いています。反面、単身者は引っ越ししやすいこと、またオーナーと生活リズムが異なり、深夜に帰ってきて洗濯機を回すなどの生活音が発生するおそれや、仲間を呼んで騒ぐなどの可能性があります。

 

ファミリー向けであれば、生活リズムがオーナーと近いので、落ち着いた暮らしがしやすくなります。また、ファミリーは長く住んでくれる可能性が高まります。デメリットとしては、一世帯あたりに広いスペースが必要となり、家賃は高くなるものの、複数の貸し手に貸せなくなくなるので利回りは低下します。

 

■賃貸併用住宅の4つのメリット

1】住宅ローンで建築できる

最大のメリットは、条件を満たせば住宅ローンを利用できること。アパートローンは金利が高く、長期間借りるとオーナーの負担もそれだけ大きくなります。他方、住宅ローンは35年など長期にわたり返済しなければならないものの、その分月々の負担は少なくて済みます。また、自宅免責の割合に応じて住宅ローン控除の適用も受けられます。

2】家賃収入が得られる

住宅の一部を貸し出すことによって、家賃を受け取り、それを住宅ローンの返済に充てることができます。

3】相続税対策

相続の際、一定額の遺産があると相続税が発生しますが、相続税評価額は自宅部分よりも賃貸部分のほうが低くなるという仕組みがとられています。そのため、建物全体が自宅になっているケースよりも、税金を安くすることができます。

4】建築費用を節約できる

自宅の他にもう一件賃借用の建物を新たに建てるコストと比べて、基礎や屋根などが1つで済むため、建築費用を安く抑えることができます。

 

■賃貸併用住宅のデメリット

1】空室管理に神経を使う

最大のデメリットとしては、空き室が出ないように常に気を配らなくてはならないことです。設計段階から賃借人の利便性を考え、利回りを優先する場合には眺望などのメリットをオーナーが諦めなくてはなりません。空室が出たらクリーニングや修繕などのメンテナンスを施して次の借り手を探す必要があります。

2】オーナーと賃借人両方にとって快適な設計を考慮する

オーナーが妥協しなければならないポイントがあるからと言っても、あまりに賃借人優先の設計にすると、今度は折角自分のお金で家を建てたオーナー自身の住み心地が悪くなってしまいます。オーナーも賃借人も快適な設計を考えなくてはなりません。例えば、自宅と賃借部分の玄関を別々の場所に配置したり、目隠しの設置、防音性の高い設計にするなど様々な配慮が必要になってきます。

そのため、住宅建設を依頼するハウスメーカーや設計会社は2世帯住宅や民泊、賃貸併用住宅などの、複数の世帯が共同で暮らす住宅を建設するノウハウを持っている会社を選び、設計段階から担当者とよく話し合いながら作る必要があります。

3】自主管理の煩雑さ

賃貸併用住宅は戸数が少ないケースが多く、マンションやアパート経営と違って管理会社に頼まずに自主管理する人も少なくありません。自主管理をすれば、それだけ経費を節約できて家賃収入を多く受け取れます。

しかし、管理には意外と細かい神経を使います。オーナーが社会人で働きに出ていたり、子供がいて手間がかかるなどの場合、共有部分のクリーニングや修繕といったメンテナンスに気を配り、借り手からの緊急の問い合わせに対応するのも手間がかかります。

満足にメンテナンスや対応が行えない状況が続くと、入居者にとっての魅力が下がり、入居率に影響を与えてしまいます。オーナーの状況から、こまめな管理を行うのが難しい場合は、最初から管理会社に依頼してしまう方が長期的に見て安心です。

4】売却しにくい

賃貸併用住宅を仲介によって売却したいと考えた場合、中々買い手がつかずに売買が成立するまで時間がかかることがあります。なぜなら、通常、買い手はマイホームを探しているか、または賃貸に使えるアパートを探しているかで、賃貸併用住宅が欲しいと考えて住宅探しをしている購入希望者は多くないのが現状だからです。売買仲介を利用しない不動産会社の直接買い取りならばすぐに売却も可能ですが、多くの場合、市場価格よりも割安な値段で売却することになります。

仲介を利用して、賃貸併用住宅でもスムーズに高い値段で売却できるポイントは、買い手にとって、二世帯住宅や民泊などにも利用しやすい、魅力的で良く考えられた建物であること。もちろん、メンテナンスもチキンと行っていなければなりません。

 

■賃貸併用住宅の建築の流れ

賃貸併用住建築のおおまかな流れをご紹介します。

1】相談・プランニング

住宅建設業者や設計会社などに賃貸併用住宅を建てたい旨を相談します。複数の会社に相談しても構いませんが。希望する規模や間取り、予算などを伝えて間取りや資金計画などのプランニングを作成してもらいます。プランニングは業者によっては料金を取られることがあります。

先述したとおり、オーナー・入居者が満足できて収益性も高い賃貸併用住宅を建てるためには、設計段階できちんとした構想を練れているどうかかがカギになります。複数世帯が同居する住宅に関しノウハウのある業者を選び、担当者が疑問や質問にも丁寧に答えてくれるどうかかをチェックしましょう。

2】契約・ローンを組む

相談した会社のうち、提案が納得でき、費用などの条件にも問題がない会社を選んで契約します。契約後は、金融機関で住宅ローンの審査を受け、承認を得ます。

3】着工

つなぎ融資を受けて着工金を入金したら、住宅建築が開始します。期間は木造であれば4ヶ月~半年程度ですが、建物の構造や大きさ、設計やデザインによってはそれ以上かかることもあります。

4】入居者を募集する

建築中から入居者の募集を始めておきましょう。依頼したハウスメーカー等によっては、入居者募集や管理についても業務として行っているケースがあるので、そのまま依頼しても良いでしょう。もちろん、別の会社に依頼することも可能です。

5】住宅完成・入居する

住宅が完成したら、住宅ローンで残りの建築代金を支払います。オーナーと入居者が引っ越しを行い、以降は家賃を受け取れるようになります。

 

■まとめ

賃貸併用住宅はメリットが多く、また将来の2世帯住宅化に備え、ライフスタイルに合わせたて柔軟な運用が可能です。成功のコツは、計画段階で業者と相談しながらしっかり構想を練っておくこと。良いプランニングができれば、快適で明るい暮らしが待っています。

 

監修者 : 不動産コンサルタント 河田 祐希(宅地建物取引士)

大学卒業後、大手新聞社に勤める傍ら、不動産を買い進め、2017年独立、株式会社カワマングローバルを設立。代表取締役就任。現在は個人法人合わせ6棟62室、戸建2軒、シェアハウス30床の所有、運営をしております。