土地活用にお悩みのオーナーに、人気の土地活用法ベスト4をご紹介します。代表的なアパート・マンション経営や駐車場経営のほかに、コストを抑えつつ高い需要を見込める土地活用法である賃貸併用住宅や戸建賃貸について、おさえておきたいポイントを解説します。また、郊外の土地の活用法についても概説します。
■土地の有効活用法ベスト4
使わない土地を有効活用する代表的な方法としては、以下の4つがあります。
(1)アパート・マンション経営
(2)駐車場経営
(3)賃貸併用住宅
(4)戸建賃貸
(1)(2)のアパート・マンション経営及び駐車場経営は、ポピュラーな土地活用として人気です。一般的によく知られているということは、それだけ収益性の高さや始めやすさの点でメリットが大きい土地活用法であるということですが、土地の形状や地域の状況、オーナーの希望によっては必ずしも最適とは言えないケースも。
そこで、最近は(3)賃貸併用住宅や、(4)戸建賃貸といった土地活用も注目されています。それぞれの土地活用法のメリット・デメリットを踏まえたうえで、その土地の個性によく合い、オーナーの希望をも叶える、最適な土地活用方法を検討しましょう。
なお、この代表的な4つの土地活用法のほかにも、土地活用方法は存在します。郊外や田舎の土地、建物の建築が法律上制限されている土地であっても、収益を上げられる土地活用方法は存在しますので、あきらめずに検討されてみてください。この記事では、この4つ以外の土地活用法についても簡単にご紹介します。
■(1)アパート・マンション経営
もっともポピュラーな土地活用方法で、将来にわたる安定的な賃料収入が期待できるほか、固定資産税や都市計画税などの税金を節税できるメリットがあります。半面、初期投資の費用が大きくなることや、空室が生じて家賃収入が減少するリスクがあります。
・アパート経営とマンション経営の違いとは?
アパートとマンションの違いについて、明確な定義はありませんが、一般に木造や鉄骨造りなどの構造で、比較的小規模の建物が「アパート」と呼ばれます。鉄筋コンクリート造りで多数世帯を受け入れることができる建物を「マンション」と呼びます。
アパート経営のメリットは、コストを抑えながら収益が見込める建物が建築できること。比較的狭い土地も有効活用でき、また、戸数が少ないため、時間や手間をかければ自力での管理も可能ということが挙げられます。
マンション経営のメリットはより強固な構造のため断熱性や遮音性、耐火性などの面から安心感があるため、入居者が入りやすいことがあります。屋上階の爽快な眺めなども賃料を上げる長所とすることができます。また、アパートより多くの入居者を受け入れることができるため、より多くの収益が見込めます。デメリットは、アパートよりも建築費が高額となることです。
・アパート・マンション経営の共通点
共通のメリットは、住宅用建物を建設することによって、土地の固定資産税や都市計画税を大幅に節税することができる点です。また、土地の上に建物が建っていると、相続税が割安に評価されます。そのほかにも税制上の様々な優遇措置を受けられることがあり、「土地活用といえばアパート・マンション経営」と言われるほど人気があります。
共通のデメリットは、お持ちの土地がアパートやマンション経営に適した土地である必要があることです。郊外の土地、駅から離れた土地など利便性の悪い土地では、入居者が入らず思ったような収益が得られないリスクがあります。家賃収入が減れば、その分毎月のローン返済の負担が重くのしかかってきます。
そのため、アパート・マンション経営に関しては、計画段階で入念な下調べを行いましょう。同じ地域のほかのアパートやマンションと比べて、入居者にとって魅力的な住宅である必要があります。また、一般的にはマンションのほうが人気がありますが、地域によっては小型のアパートのほうが好まれるケースがあります。加えて、収益性の見積もりは満室想定だけではなく、一定の空室が出ることも想定しておくことも大切です。
■(2)駐車場経営
土地に建物を建てたくない人のための一般的な土地活用方法で、比較的場所を選ばずに収入が得られ、初期投資も少なく手軽に始められる土地活用です。他方、固定資産税や相続税といった税金を節約しにくいというデメリットがあります。
・月極駐車場経営とコインパーキング経営の違いとは?
月極駐車場は、特定の利用者と契約を結び、駐車場の利用スペースを一定の期間貸し出すかわりに料金を得るという土地活用方法です。これに対し、コインパーキングは不特定多数の利用者に時間単位で駐車スペースを貸し出します。
月極駐車場経営のメリットは、代表的な土地活用方法の中で最も初期投資が少なくて済むことです。更地であれば舗装されていなくとも気軽にスタートできます。また、思ったほど収益が上がらず、ほかの土地活用を試してみたくなったというケースでも、簡単に土地利用方法を変更できます。比較的手間がかからないため、自営も可能です。デメリットとしては、駐車場の大きさによって毎月の利用者数が決まってしまうため、大きな収入は得られないことです。
コインパーキング経営のメリットは、月極駐車場に比べて収益率が高いことです。都心の利用種数の多いコインパーキングであれば、同じ面積の土地で、月極駐車場1か月分の収益を1週間で達成することもあります。コインパーキングは、一般的には、専門の業者に一定期間土地を貸し出すことになりますが、機械の設置やメンテナンス、トラブル対応などの管理はすべて業者がやってくれるので、オーナーは手間がかかりません。デメリットとしては、舗装はオーナーでやらなくてはならず、一定の初期投資費用が掛かることです。
・月極・コインパーキング駐車場経営の共通点
共通点のメリットとしては、人が住んでいて、駐車場のニーズがある土地ならば比較的どんな場所でも一定の収益が見込めることです。アパートやマンション経営に適さない郊外や田舎の土地、利便性の悪い土地でも、駐車場ならば経営が可能なケースがあります。また、市街化調整区域などで建物を建てることができない土地でも、駐車場ならば土地活用できです。狭小地・変形した土地でも、車を留めるのに支障がなければ活用できます。
共通のデメリットとしては、固定資産税や都市計画税といった税金が、アパート・マンション経営に比べて割高になってしまうことです。また、建物の建っていない土地は相続税の計算の際も高く評価されるため、土地の相続税も割高になります。
また、すべての土地が駐車場経営に適するというわけではなく、安定した収益を上げるためには、計画段階でしっかりとリサーチして需要の有無を予測しておく必要があります。特に、一定の初期投資が必要になるコインパーキング経営は慎重な判断が必要でしょう。
■(3)賃貸併用住宅
住宅ローンを利用して賃貸スペース付きの住宅を建て、建物の一部を賃借人に貸して生活します。家賃収入が得られることや、将来的に二世帯住宅にできることが魅力ですが、アパート・マンション経営に比べてローコスト・ローリターンである点が特徴です。
・アパート・マンション経営との比較
最大のメリットは、住宅ローンを利用できるので、アパート・マンション経営よりも低金利で融資条件も緩く、有利な条件でお金を借りられることです。ローンの金額そのものもアパートやマンションよりも少なく抑えられるので、大きな初期投資は心理的な敷居が高いという人にも向いています。
また、アパートやマンションよりも小規模なので、業者の手を借りずに自営で収益を上げたいという人にも始めやすい形態です。
デメリットとしては、アパートやマンションよりは収益性が低いということです。住宅ローンで賃貸共用住宅を建てるためには、「建物の50%以上をオーナーの住居として使わなくてはならない」などと、銀行の融資条件に一定の制約が課せられます。こうした制約下では、多数の入居者を受け入れるような構造にはしにくくなっています。
賃貸併用住宅は、マイホームの住宅ローンの負担を賃貸部分の家賃収入で軽減、ないしはゼロにすることが可能なため、「マイホームとアパートのメリットのいいとこどり」ともいえます。
しかし、賃貸併用住宅で安定した需要が見込める土地ならば、アパート・マンションを建てても多くの入居者が見込める可能性が高いです。せっかくこうした土地に住居用建物を建てるのであれば、大きな建物を建てて、より多くの収益を上げたほうがお得かもしれません。
■(4)戸建賃貸
住宅ローンを組むことを望まないファミリー層に戸建て住宅を貸し出します。希少性があり、アパートやマンションほど建築費用がかかりません。また、住人が建物を買い取るケースも。その半面、戸建て賃貸のニーズが少ない土地では借り手がつかない恐れがあります。
一戸建ては、マンションほど騒音や振動などが近隣住民に漏れることを気にしなくて済み、また庭が利用できるなどメリットが多いので、ファミリー層に人気があります。しかし、終身雇用制の崩壊により、職業や収入が変動する可能性が増えた昨今では、住宅ローンを組まずに戸建て住宅を持ちたいと希望する世帯も増えています。
そこで、ファミリー層に需要が見込める土地に1戸建てを建築し、貸し出します。こうした形態は近年増えてはいるものの、まだまだ供給量が少ないため、アパートやマンションよりも有利に経営できる可能性があります。
・アパート・マンション経営との比較
最大のメリットは、住宅ローンが利用でき、アパートやマンション、賃貸共同住宅よりも1戸当たりの初期投資額が抑えられることです。閑静な住宅街に使わない土地をお持ちの場合などに向いています。また、一度入居者が決まれば入居期間が長い傾向があります。家を気に入った入居者が住宅の買取りを希望するケースもあるため、売却したいと思った場合はスムーズにいくことも多いです。
大きな建物に複数の入居者を受け入れるアパート・マンションは高い収益が見込めますが、一般的な土地活用として人気が高く、あまりにも増えすぎたため、地域によっては供給過剰になってきています。また、賃貸物件へのニーズの多様化により、戸建て賃貸への需要も高まっています。こうした需要をとらえ、ファミリー層にとって快適な戸建て賃貸を提供することで、比較的駅から遠い郊外などでも土地活用をすることができます。
デメリットとしては、アパートと比べると投資効率が落ちることです。そのため、建物の構造をシンプルにするなど、建築費を下げる工夫が必要となります。かといってコストダウンばかりを気にすると、入居者にとって魅力的な住居にはならないので、バランスを考えて設計する必要があるでしょう。大手住宅メーカーを選べば、割安なコストで品質のいい家が作れるので、業者選びも重要になります。
■それ以外の土地活用方法
・太陽光発電
郊外や田舎の土地、市街化調整区域で建物の建築が制限されている土地などでもっとも一般的な土地活用方法です。太陽光発電システムを設置して事業者に売電して収入を得ます。
・サービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホーム
郊外の土地でも建物を建てて高い収益を見込める方法としては、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や住宅型有料老人ホームがあります。これらの施設は市街化調整区域であっても、許可を得て特別に建物を建てることができる場合があります。
・墓地・霊園
墓地や霊園は郊外でも需要が見込めます。土地の価格が安く、数十年にわたって使わない見込みである土地を持っている方に向いています。
■土地活用は専門家にアドバイスを求めよう
土地活用の際は、詳しい知識を持ったプロに相談されることをお勧めします。土地活用は多くの場合において、少なからぬ額の初期投資が発生します。また、将来にわたって利益を上げられる可能性がある半面、うまくいかずに初期投資を回収できず失敗することもあります。
土地活用を構想する段階で、専門家に、所有している土地の長所や経営リスクを個別具体的に指摘してもらうことによって、実際に土地活用を開始してからの失敗を防ぐことができます。
Build-Re(ビルドリ)では、所有している土地の活用を考えられている方のために、最適なプランをご提案。また、大手ハウスメーカーや不動産会社をご紹介するコンシェルジュサービスを行っています。土地活用のご相談は完全無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。
監修者 : 不動産コンサルタント 河田 祐希
・宅地建物取引士
大学卒業後、大手新聞社に勤める傍ら、不動産を買い進め、2017年独立、株式会社カワマングローバルを設立。代表取締役就任。現在は個人法人合わせ6棟62室、戸建2軒、シェアハウス30床の所有、運営をしております。